江 玉さん

校友の誇り

社会人としての自分、芸能者としての自分の相互作用で、世界にチャレンジしてみたい

中国文化一級秘密「変面」継承認定者

江 玉さん

(2015年 国際文化学部卒)

江玉さんは、10歳の頃から中国四川省の伝統芸能「川劇」の専門教育を受け、7年後の2006年には川劇団に入り、3年後にはそのなかの特殊な技の一つである「変面」の継承者になります。その後「中国川劇団」に入団し、アジアや欧米などで数多くの川劇に出演。2008年の北京オリンピックの開幕式にも花を添えたという、スゴ技の持ち主です。

「変面のプロとして活動するだけでなく、もっと自分のいろんな可能性を考えてみたくなったんです。日本に興味を持ったのは、2008年の四川省大地震の時。私もボランティアとして駆けつけたのですが、そこにいた日本の救助隊のひたむきな姿をみて胸が熱くなりました。でも、コミュニケーションがとれなくて。『ありがとう』だけ覚えて彼らが帰国する時に伝えました。それから、仕事の傍ら日本語を勉強するようになったんです」日本語や文化、歴史を知っていくうちに、日本に行ってみたいという思いが強くなり、ついに劇団をやめて留学生に。選んだ地は日本伝統の街並みや文化が多く残る、憧れの京都でした。

音楽にのせて舞いながら、一瞬で面を次々と変えていく「変面」。観客を驚かせ惹きつけるその仕組みは国家秘密とされています。「変面は『川劇』が持つたくさんの技のなかの一つにすぎないけれど、一番見ていてわかりやすいんだと思います。理解されやすいものは伝播していく。だったら、変面を世界中のもっと多くの人に見てもらって、中国文化に興味を持つ人が増えるといいな。日本でも、変面の継承者としていろんなところに行って交流できるのが嬉しいんです」

実際に、来日以来、神戸の南京町や東北の石巻市など日本各地でそのパフォーマンスを披露し、時には日本のアニメのキャラクターの面も取り入れるなど彼女らしい工夫で市民を楽しませています。彼女にとって変面は日本人とコミュニケーションをとるための大切な一手段なのです。

変面はその早技ばかりが注目されがちですが、実は一つひとつの面に意味があるのだと、歴史上の人物を表現していたり、喜怒哀楽や思想が潜んでいるといいます。「色や表情の変化だけじゃなく、面の意味がわかれば、変面をもっと楽しめるかもしれません。そのためにはまず中国の歴史や文化を知っていないと」

将来は、変面を活かした活動も続けながら、大学で身につけた様々な知識やビジネススキルを、社会人としての自分、芸能者としての自分の相互作用で、世界にチャレンジしてみたいというその華やかな舞いの裏には、日本と中国、二つの国への純粋な愛情が隠されていました。

[広報誌「龍谷」72号より]

江 玉(こう・ぎょく)

四川省芸術学校出身。2015年龍谷大学国際文化学部を卒業。 中国四川省に伝わる伝統劇・川劇の特殊技法の第一級国家秘密「変面」継承者。江さんは2008年四川大震災の時、被災者の救護にあたる日本の救助隊のひたむきな姿に感動し本学に入学。在学中から積極的に日中文化交流活動に取り組まれ、各地でおこなわれているチャリティイベントにも多数出演。東日本大震災では、今度は自分が被災者の力になりたいと熱心にボランティア活動に取り組み、卒業後も日中友好の架け橋として活躍されている。
2015年、本願寺賞を受賞。
2015年、龍谷奨励賞を受賞。




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